実家の土地に悩む方へ、「相続土地国庫帰属制度」と「相続放棄」の違いを分かりやすく整理します

この記事の結論

  • 相続土地国庫帰属制度は特定の不要な土地だけを国に引き渡せ、相続放棄は預貯金や建物・借金も含めたすべての相続権を失う。
  • 国庫帰属は建物がある土地や境界不明・他人の権利・土壌汚染・崖崩れの危険がある土地などは対象外になりやすく、手数料と10年分の管理費相当の負担金が必要。
  • 相続放棄しても次の相続人が管理を始められるまで保存義務が残ることがあり、相続財産清算人の選任には高額な予納金がかかるケースもある。
実家の土地に悩む方へ、「相続土地国庫帰属制度」と「相続放棄」の違いを分かりやすく整理します

宮城県石巻市で地元密着の住まいづくりをお手伝いしている、ウイングホーム(ウイングライフ株式会社)代表の奥田です。今回は、石巻エリアで「親から相続した土地をどう管理していけばいいのか」「手放す方法はないのだろうか」とお悩みの方に向けて、最近よく耳にするようになった「相続土地国庫帰属制度」と「相続放棄」の違いについて分かりやすく整理してお伝えします。

「実家の土地を引き継いだけれど、遠方に住んでいて管理ができない」「草刈りや固定資産税の負担が重い」といったお悩みは、本当に多くの方が抱えていらっしゃいます。そのお気持ち、私たちも日々地域の皆さまとお話しする中で痛いほどよく分かります。大切なのは、それぞれの制度の特徴を正しく理解し、ご家族にとって無理のない選択肢を見つけることです。まずは基本から一緒に見ていきましょう。

「相続土地国庫帰属制度」と「相続放棄」の決定的な違い

実家の土地を手放したいと考えたとき、候補に挙がるのが「相続土地国庫帰属制度」と「相続放棄」です。これらは名前が似ていますが、手続きの進め方や「手放せる範囲」が大きく異なります。

まず、最も大きな違いは「特定の土地だけを手放せるかどうか」という点です。

  • 相続土地国庫帰属制度:相続した財産のうち、「特定の不要な土地だけ」を国に引き取ってもらう制度です。預貯金や他の建物などはそのまま相続し、管理が難しい土地だけを選んで手放すことができます。
  • 相続放棄:亡くなった方の「すべての財産」を引き継がないとする手続きです。不要な土地だけでなく、預貯金や価値のある建物、さらには借金なども含めて、一切の相続権を放棄することになります。

このように、相続土地国庫帰属制度は「ピンポイントで土地だけを整理したい」ときに役立つ制度であり、相続放棄は「財産全体を一切引き継ぎたくない」ときに選ぶ手続きという違いがあります。

相続土地国庫帰属制度を利用する際のハードルと費用

特定の土地だけを手放せる便利な制度ですが、実際に利用するためにはいくつかの厳しい条件をクリアする必要があります。どんな土地でも無条件に国が引き取ってくれるわけではありません。

引き取りの対象外となる主な土地の条件

国が管理を引き受けるにあたり、将来的にトラブルや過度な管理コストが発生しそうな土地は却下されてしまいます。例えば、以下のような土地は申請が通らない可能性が高いです。

  • 建物が建っている土地(更地にする必要があります)
  • 境界が明らかになっていない土地
  • 他人の権利(抵当権や地上権など)が設定されている土地
  • 土壌汚染がある土地や、崖崩れの危険がある土地

必要となる費用負担

もう一つの注意点は、手続きが無料ではないということです。申請時の手数料に加え、審査が通った後には「10年分の土地管理費に相当する負担金」を国に納める必要があります。土地の区分や面積によって金額は異なりますが、一定のまとまった費用負担が発生することは事前に知っておく必要があります。

相続放棄を選ぶ場合の注意点と「管理責任」のゆくえ

一方で、すべての財産を手放す「相続放棄」を選べば、費用をかけずに土地を手放せるように思えるかもしれません。しかし、ここにも見落としがちな注意点が存在します。

相続放棄は、家庭裁判所に申し立てを行うことで「最初から相続人ではなかった」という扱いになります。そのため、土地の固定資産税を支払う義務などはなくなりますが、それで完全にすべての負担から解放されるとは限りません。

民法の規定により、次の相続人が決まってその人が管理を始められるようになるまでは、放棄した土地の「保存義務(管理責任)」が残る場合があります。例えば、放置された空き家の屋根が崩れて近隣に迷惑をかけてしまった場合、相続放棄をした後であっても、適切な管理を怠ったとして責任を問われるリスクがゼロではないのです。完全に管理から離れるためには、裁判所に「相続財産清算人」を選任してもらうなどの複雑な手続きが必要になり、そのための予納金として高額な費用がかかるケースもあります。

まとめ:我が家に適した選択肢を見極めるために

実家の土地をどう整理していくかは、ご家族の状況や財産の内容によって最適な答えが変わります。「特定の土地だけを費用を払ってでも国に引き取ってもらうべきか」、あるいは「財産全体を見直して別の方法を考えるべきか」、まずは現状を整理することが大切です。焦って決断する前に、土地の境界や建物の有無、そしてご家族がこれからどう暮らしていきたいかという未来の計画に目を向けてみてはいかがでしょうか。

参考に「家族信託の相談窓口コラム」もご覧ください。⇩

コラムはこちら

相続放棄の手順を知る–日経解説

よくある質問

相続土地国庫帰属制度と相続放棄の決定的な違いは何ですか?
特定の土地だけを手放せるかどうかです。国庫帰属は相続財産のうち管理が難しい土地だけを国に引き取ってもらい、預貯金や他の建物はそのまま相続できます。相続放棄は不要な土地だけでなく、預貯金や価値のある建物、借金も含めて一切の相続権を放棄します。
国に引き取ってもらえない土地には、どんなものがありますか?
建物が建っている土地(更地にする必要がある)、境界が明らかになっていない土地、抵当権や地上権などが設定されている土地、土壌汚染がある土地や崖崩れの危険がある土地です。どんな土地でも無条件に引き取ってもらえるわけではありません。
相続土地国庫帰属制度の費用は無料ですか?
無料ではありません。申請時の手数料に加え、審査が通った後に10年分の土地管理費に相当する負担金を国に納める必要があります。土地の区分や面積によって金額は異なりますが、一定のまとまった費用負担が発生します。
相続放棄を選べば、土地の負担から完全に解放されますか?
固定資産税を支払う義務などはなくなりますが、次の相続人が決まって管理を始められるまでは保存義務(管理責任)が残る場合があります。放置された空き家の屋根が崩れて近隣に迷惑をかけたとき、放棄後でも責任を問われるリスクはゼロではありません。完全に離れるには相続財産清算人の選任などが必要で、予納金として高額な費用がかかるケースもあります。

ウイングホームは宮城県石巻市で注文住宅(新築・建替え)、リフォーム、リノベーションを行っております。お住まい・不動産のこと、相続のことで何か困ったこと、相談したいことがありましたらお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

ウイングホーム 代表 奥田 正武

奥田 正武(ウイングホーム 代表)

石巻の地元密着工務店として、「後悔してほしくない」家づくりを大切にしています。予算内で叶えるオーダーメイドの住まいと、不動産のご相談もお任せください。

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